事例紹介

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写真:(左から)佐藤 真一様、島 和彦様、樋田 昌紀様

販売促進金EDI推進による
業務効率化とコスト削減の取り組み

コゲツ産業株式会社

基幹システムの刷新を機に販売促進金EDIの推進とPDF変換サービス(販売促進金請求書)のご利用を開始されたコゲツ産業様。
販売促進金関連のデータ化を推進する取り組みの背景や効果について伺いました。(本文敬称略)
※2023年3月よりPDF変換サービスはファイル配信サービスに移行いたしました。

ご担当者様(取材当時)

  • ■コゲツ産業株式会社
    常務執行役員
    営業本部本部長 兼 物流部長
    島 和彦 様

    営業本部
    営業推進部長
    佐藤 真一 様

    管理本部
    情報システム部 部長
    樋田 昌紀 様

※本取材は2020年8月にオンラインにて実施いたしました。また、写真撮影は福岡県内のカメラマンによるものです。

EDI推進の取り組み

――はじめに貴社の事業概要についてお聞かせください。

弊社は明治時代に始まった菓子製造販売業を母体に、1973年に設立した総合食品並びに酒類の卸商社です。現在はドライ・フローズン・チルド・酒類の各商品を取り扱い、売上構成比はおおよそ35%、30%、25%、10%といった状況です。弊社は地域に根ざしたジャストインタイムな物流システムと仕入先様と直結した営業サポート力を軸に「人とモノ、出会いを大切に。暮らしにいいもの、提案します。」という企業理念の下、地域に育ち、地域に貢献できるよう伝統を大切にし、且つ革新を続けながら情報と商品をよりよい形で提供して参りました。

――貴社のEDI推進の取り組みについてお聞かせください。

樋田

仕入先様に対しては1991年からファイネットのVANサービスを利用したデータ交換を開始しました。まずは販売実績データの送信から始まり、1997年から受発注データの送信も開始しました。受発注EDIは仕入先様からのご要望や弊社から仕入先様への働きかけもあり、2019年には60社とEDIを行うようになりました。しかし、EDI化が進んでいたのはドライと酒類部門で、売上構成比の大きいフローズン部門はカテゴリーの特性もありFAXによる発注を続けていました。一昨年、フローズン部門の発注業務の運用を改めて見直し、EDIによる発注を行えるように改善しました。現在では全部門を通じて約80社の仕入先様と受発注EDIを行っており、EDI化率は54%になっています。受発注EDIは今後も継続的に進めていき、最終的にはEDI対象の仕入先様を数百社規模まで拡大していきたいと考えております。また、受発注だけでなく決済関連についてもEDI化を進めていく予定です。

――ありがとうございます。貴社では基幹システムの刷新に取り組まれていると伺っております。その内容についてお聞かせください。

DX(デジタルトランスフォーメーション)が取りざたされる前から、レガシー化した基幹システムには社内でも改善要望があがっていました。また、業務においても弊社は業界標準とは乖離があるという認識があり、それらを解消すべく2018年から基幹システムの刷新を開始しました。対象としたシステムは、受注手配・在庫管理・債権債務・会計・人事給与すべてです。それらを手配系と債権債務系の2つのグループに分けて進める事とし、まずは債権債務系システムの刷新を2019年8月に完了しました。この刷新の効果の一つとして各種帳票類を電子化することで様々な業務を効率化できています。また、関係部門の社員がテレワークで業務遂行できるようになり、今般の新型コロナウイルス感染症拡大防止対策にも大いに役立ちました。

樋田

現在は2022年末から2023年初頭を目途に手配系システムの刷新に取り組んでおり、将来的には統合型の基幹システムとして稼働させたいと考えております。もちろん、統合システムとなればシステム管理面では大きな効率化につながると思われますが、システムの一部を修正する際に影響範囲が肥大化する懸念もあるため、柔軟な拡張性を前提に各システム間のリレーションを精査しつつ取り組んでいるところです。

販売促進金EDI

――現在、販売促進金のEDI化を推進されていますが、その経緯についてお聞かせください。

佐藤

先ほどお話したシステム刷新を行う以前の債権債務系システムでは、販売促進金のEDIに関して請求データを送信する事だけは出来たものの、それだけでは弊社内の業務効率化に繋げる事が出来ない状態でした。そのため多くの仕入先様から販売促進金EDI化のご要望を頂いている中で、2015年ごろから請求データの送信は始めたとはいえ、限定的にごく一部の仕入先様との間に留めていました。
しかし、今回の債権債務系システムの刷新に合わせて今後は販売促進金のEDI化についても推進していく方針にしました。仕入先様からのご要望の多さと、「業界標準」に沿う事で業界全体の効率化に繋げていく事の重要性を踏まえた方針決定です。
もちろん弊社としても業務効率化に繋がるよう、請求データを送信するだけではなく、仕入先様からの支払データを受信し、請求データと支払データの自動照合を行っていく予定です。これまで手作業で行ってきた照合業務を自動化することでスピードアップと精度向上に繋がり、業務負荷の大幅軽減を目指していきます。

――EDI推進の進め方や仕入先様へのアプローチ方法をお聞かせください。

佐藤

まずは、社内関連部門で連携を取りながらEDI化の対象とする仕入先様をリストアップする事から始めました。それから、対象の仕入先様には営業本部と関連部門の責任者から販売促進金EDI化についてのご案内を行いました。この案内の際にアンケート形式で、各仕入先様のEDI対応可否や対応時期の確認と、本件窓口担当の確認を行いました。そこで「EDI化可能」とご回答いただいた仕入先様に対して個々に打ち合わせ等を行ってEDIを開始していきました。仕入先様からのお問い合わせについてもスムーズに対応できるよう各部門連携しながら進めています。
また、この取り組みの中では販売促進金だけでなく販売実績データについてもあらためてではありますが、併せてEDI化のご案内を行いました。販売実績データは弊社から得意先様への納入実績ですから、仕入先様にとっては販売促進金の元になるデータです。これを機に販売実績データのEDI化を開始された仕入先様が多くあったのも収穫です。

――販売促進金EDIの推進状況と今後の展望についてお聞かせください。

樋田

販売促進金EDIは2020年7月時点で23社の仕入先様へ請求データを送信しており、仕入先様側では支払処理のための入力作業の効率化に繋がっていると思われます。前述したEDI対応可否のアンケートでは44社からEDI対応可能というご回答をいただいており、順次EDI開始に向けて準備を進めております。まだEDI化されていない仕入先様においてもご要望をいただければEDI化を推進して参ります。
また、弊社としても請求データを送信している仕入先様には今後支払データをお送りいただくようお声掛けしていく予定です。

PDF変換サービス(販売促進金請求書)

――販売促進金EDIの推進開始に合わせてPDF変換サービス(販売促進金請求書)のご利用も開始されました。その経緯についてお聞かせください。

佐藤

以前、社内業務の洗い出しを行った際に、販売促進金請求書の仕入先様への送付作業については月間で40時間掛かっており、作業タイミングが集中することもあって大きな業務負荷であることが判明していました。請求書印刷から送付先ごとの仕分、封入、発送まで全て手作業で行っていたため負荷が高かったわけです。また一部の仕入先様には請求書を弊社まで取りに来ていただいており、時間的なご負担だけでなく受け渡しの確実性やタイミングなど、そこにも課題がありました。
これらの課題を解決すべくファイネットのPDF変換サービス(販売促進金請求書)の利用を検討しました。このサービスを利用する事で、弊社からファイネットへはデータで送信すれば、その後は自動的にファイネット内で請求書がPDF化され、仕入先様へ通知メールが自動配信されWebサイト経由で請求書を受領いただけます。そのため、手作業で行ってきた業務が削減されますし、一部の仕入先様に取りに来ていただく必要もなくなります。もちろん、サービス利用にあたり弊社でサービス利用料の負担が生じますが、業務削減効果に加え印刷や郵送のコストも減らせるため費用対効果としては十分であり、サービスの利用を判断いたしました。
また、複数の全国大手クラスの卸売業が既にこのサービスをご利用されていることも判断のポイントでした。この事によって既に殆どの仕入先様が当サービスのWebサイトでの請求書受領に対応済みであり、弊社にとっても進めやすく、仕入先様にとっても請求書の受領手段と請求書の書式自体が共通化されるメリットがあります。

――PDF変換サービス(販売促進金請求書)の取り組み状況と今後の展望についてお聞かせください。

樋田

PDF変換サービス(販売促進金請求書)については2020年7月から一部の仕入先様に対して利用を開始し、11月から本稼働を予定しています。PDF変換サービス(販売促進金請求書)の利用により、コストメリットはもちろんのことですが、ペーパーレス化が実現できた事によって今後より柔軟な対応が可能になると感じています。例えば今般のコロナ禍においてはテレワーク対応などで出社制限が必要とされる状況も生じております。このような場合に、弊社側では請求書の発送が出社せずに行えますし、仕入先様側でも請求書の受領が出社せずに行えるという事は大きなメリットだと思います。まだ郵送で受け取っていただいている、もしくは取りに来ていただいている仕入先様はご担当者様のメールアドレスをご教示いただければPDFファイルにて送付可能ですので是非ともご検討いただきたいと思っております。

今後の方針

――今後の方針をお聞かせください。

樋田

当面は販売促進金EDI及びPDF変換サービス(販売促進金請求書)の活用推進により、仕入先様と弊社双方の業務効率化に繋げていきたいと考えております。同時に社内の業務効率化をさらに推進するために照合業務の自動化にも一段と取り組んで参ります。照合業務に関連する販売促進金や出荷案内をデータ化することで違算を容易に発見でき、関連部門へも違算内容を早期に精度高く報告できます。余裕をもって債権債務管理ができれば社内全体の統制に寄与するだけでなく仕入先様にも早期に違算内容をご連絡でき業務効率化に繋がるはずです。

――ファイネットに期待することがございましたらお聞かせください。

メーカー/卸間で行なわれている請求/支払に関するやりとりは、まだまだデータ化が進んでおらず各社の経理・財務部門は業務負荷に頭を悩ませているのが実態です。紙ベースでのやりとりをデータ化していく事は業界全体の業務効率化を考えていく上において大変重要なテーマであると認識しております。これらの課題を解決していくために、ファイネットには引き続き業界内のデータ化と標準化の推進に取り組みいただけるよう大いに期待しております。

――ご期待に沿えるよう引き続き取り組んで参ります。本日は貴重なお話をお聞かせいただき有難うございました。

CORPORATE PROFILE

コゲツ産業株式会社

菓子製造販売の湖月堂の食品取扱部門が、その伝統を受け継ぎながら新たな方向に伝統を開花させるべく、独立したのがコゲツ産業です。
現在は地元北九州・福岡を中心に全国各地に物流拠点を配置し、広範囲かつ緻密な販売ネットにより西日本でも屈指の総合食品卸商社として確かな経営基盤を築き上げています。湖月堂は平成26年に創業120周年を迎えました。先人たちの築き上げた信用という大切な暖簾を守り、そして、その基盤をより強固なものにするためにも取引先様への感謝を忘れずに、これからも業界の方々と手を取り合ってたゆまぬ努力を続けて参ります。

設立
昭和48年10月1日
代表者
代表取締役社長 本村道生
本社所在地
福岡県北九州市小倉北区赤坂海岸3-2
売上高(連結)
937億円(2019年9月期)