事例紹介

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写真:(左から)女澤次長、佐藤部長、土屋様

得意先様へのWebEDI活用推進
による受注業務効率化の取り組み

日本製粉株式会社

メール/FAX発注の得意先様へファイネットWebEDIを推進し、受注業務の効率化に取り組まれている日本製粉様。
取り組みの背景や効果、今後の方針をうかがいました。(本文敬称略)

ご担当者様(取材当時)

  • ■日本製粉株式会社
    流通業務部 次長
    女澤 一夫 様
  • ■株式会社日本製粉システムセンター
    常務取締役 システム部長
    佐藤 彰夫 様

    システム部 システム課
    土屋 理希 様

EDI推進の取り組み

――はじめに貴社の事業概要についてお聞かせください。

女澤

弊社は、1896年に日本で最初の機械式製粉の民間企業として誕生しました。今日では、製粉事業やプレミックス・パスタ・冷凍食品などの食品事業、健康食品や自然化粧品などのヘルスケア事業、ペットフード事業、バイオ関連事業など多角的に事業展開をしています。おかげさまで、多くの得意先様とお取引させていただいています。

――貴社のEDI推進の取り組みについてお聞かせください。

佐藤

弊社では、1988年頃から受注のEDI化を開始し、現在では食品事業の受注EDI化率は70%まで進んでいます。EDI化の推進は、全国5箇所の受注拠点毎に取り組んでいます。日々の受注業務の中で、FAXで受注した得意先様が、弊社の他の受注拠点でEDI化できているかを確認しています。
加えて、ファイネットから提供いただいているファイネット加入卸のEDI接続一覧表にて、発注元の得意先様がEDIに対応されているかを確認しています。これらの確認結果を踏まえて、EDI化できる可能性がある得意先様には弊社からEDI化の打診を行っています。

土屋

基本は、営業担当者が得意先様へコンタクトを取りEDI化の打診をしています。得意先様のEDI担当者が不明の場合はファイネットに協力を仰ぎ、得意先様のEDI担当者を紹介いただくこともあります。EDI化の承諾をいただいた得意先様とは、EDIでの運用方法などの確認を行います。主な確認項目は、データの内容や対象品目、締め時間などです。その後、EDIを実際に開始する際には、1週間程度FAXとEDIを併用して受注内容を比較し、問題のないことを確認したうえで、FAXの停止をもってEDI化を完了しています。
そういった取り組みを進めた結果、ファイネットの商品流通VANサービスを通じて、93社の得意先様と受注のEDI化が実現できています。

女澤

一方、ファイネットに未加入の得意先様との受注EDI化は難航していました。そのため16年ほど前に、弊社ではそういった得意先様向けに、MailEDIシステムを構築し、得意先様にご利用いただくことにしました。得意先様のパソコンにインストールして利用いただくソフトウェアで、届け先や商品の発注数量を入力いただくと、自動的に弊社にEメールで発注内容が届く仕組みです。
得意先様側の操作が簡便であったこともあって、50社を超える得意先様にご利用いただけるまでになっていました。

ファイネットWebEDI推進

――MailEDIから、ファイネットのWebEDIへの切り替えに至った経緯についてお聞かせください。

女澤

ファイネットに未加入の得意先様へのMailEDIの導入は進みましたが、次第に保守運用のコストや業務負荷などの課題が浮き彫りになってきました。
1つは、Windowsのバージョンアップ対応です。Windowsのバージョンアップが行われる度にMailEDIの動作検証、ときには改修を行う必要がありました。さらに、改修したMailEDIを各得意先様のパソコンに再インストールする作業が発生していました。MailEDIをインストールするのは、営業担当者が得意先様の事務所へ伺い設定作業を行っていましたので、得意先様にお手間を取らせてしまうのと同時に弊社営業担当者にも負担が掛かっていました。同様に、得意先様のパソコンや担当者が変更された際も、都度得意先様の事務所へ営業担当者が伺い設定作業を行っていました。

土屋

2つ目の課題は、MailEDIが動作しない事象が多くなってきたことです。MailEDIの不具合などがあった際のお問い合わせは、システム担当者が対応していますので、その対応の負荷も大きくなっていました。不具合の主な要因として、得意先様のシステム面(特にセキュリティ)での環境変化によってご利用いただけなくなるケースが出てくるようになりました。そのような課題が浮き彫りとなる中、2020年1月のWindows7サポート終了が発表されWindows10などへの移行・対応の必要にせまられていました。
これらのことから、MailEDIの改修・更新を検討した結果、これまでのパソコンにインストールするソフトウェアから、Webサイト上で操作するシステムに移行する案が浮上しました。しかしながら、自社固有のWebシステムを構築すると、結局システム保守・運用のコストや業務負荷が生じる点が課題となりました。

佐藤

そこで、業界共通基盤としてサービス展開しているファイネットのWebEDIを利用することを検討しました。ファイネットのWebEDIの機能やヘルプデスクなどのサポート体制を確認した結果、MailEDIからファイネットのWebEDIに移行することにしました。自社固有のシステムではないため、保守・運用はファイネットがサービスとして継続的に行っていくことが担保されている点がポイントでした。また、ファイネットのWebEDIのリニューアルの情報及びその結果もポイントの一つです。
ただ、この移行の実現にはMailEDIをご利用いただいている得意先様のご理解を得たうえで、ファイネットのWebEDIに移行していただく必要があります。弊社のメリットもさることながら、得意先様にもメリットがあることが大変重要です。得意先様が、ファイネットのWebEDIをご利用いただくことで、弊社を含めた多くのメーカー様とのEDI化が可能になります。また、ヘルプデスクの受付時間も、7:30~23:00と長時間のサポート体制であることなど、得意先様にもメリットがあると考えています。

――ファイネットのWebEDIへの移行についての、得意先様へのアプローチ方法をお聞かせください。

女澤

MailEDIをご利用いただいている得意先様各社に、営業担当者と協力してファイネットWebEDIへの移行をお願いしています。ただ、ファイネットWebEDIを各得意先様へ導入いただくにあたり、ファイネットの加入方法やファイネットWebEDIの仕組みをある程度理解する必要がありますので、社内で勉強会を開催しました。勉強会は本社の流通業務部を事務局として、システムセンターが講師を務め、受注拠点の管理担当者からEDI化の事例発表なども交えて行いました。

土屋

社内勉強会の目的の一つは、EDI化の知識共有です。そのため、EDIに関する言葉の説明(EDIとは、VANとはなど)から始めました。また、EDI化のメリットを説明すると共に、注意点についても認識を持ってもらいました。そのうえで、ファイネット提供の接続状況表などを用いて、自社のEDI受注業務における業界でのポジションの確認などの現状を共有しました。
もう一つの目的は、EDI化の際に発生する課題の克服方法と先見の知識の共有です。これは、事例紹介を介して、それぞれ発生した課題とそれを乗り越えた方法などを発表してもらい、受注拠点間でのレベルの統一を目指しました。

業務効率化への意識向上

――ファイネットのWebEDIへの移行によって得られた成果をお聞かせください。

土屋

WebEDIへの移行では、先ほど申し上げた自社固有のシステムにつきものである、保守・運用業務から解放されたことが大きな成果です。
現在では、MailEDIを導入していただいている得意先様への移行推進に加え、FAX発注の得意先様にもファイネットを経由したEDI化の提案を積極的に行っています。

女澤

EDI化で、正確性の向上、受注入力の削減、受注返信FAXの削減など、各受注拠点で大きな改善効果が表れています。WebEDIへの移行推進をきっかけに、社員一人一人の業務効率化への意識が高まったことも大きな成果であると感じています。WebEDIへ移行いただいた得意先様は、現在18社にのぼります。まだ、移行されていない得意先様へは、引き続きWebEDIを利用いただく提案を行う予定です。

今後の方針

――今後のEDI拡大方針についてお聞かせください。

土屋

まずは、MailEDIを導入いただいている得意先様の協力をいただきながら、ファイネットWebEDIへ完全に移行し、MailEDIを廃止することを念頭に置いております。
また、今回のEDI推進を足掛かりとして社員一人一人のEDIに対する知識の向上を狙っています。

佐藤

最近では、受注EDI以外にも販売促進金のEDIやファイネット資材VANサービスを利用した資材調達におけるEDIの検討/準備を行っています。また、EDIにおける通信手順についても、現在の全銀協TCP/IP手順からインターネット手順へ速やかに切り替えていく予定です。

――最後にファイネットに期待することや課題などがあればお聞かせください。

佐藤

現状、未だにFAX受注が残っており、ファイネットに未加入の得意先様もまだまだいらっしゃいます。今後一層EDI化を進めていく中で、もっと普及推進しやすくなるような仕組みや制度が欲しいですね。そういった部分をファイネットに期待しています。

――ご期待に沿えるよう引き続き取り組んで参ります。本日は貴重なお話をお聞かせいただき有難うございました。

CORPORATE PROFILE

日本製粉株式会社(ニップン)

1896年に我が国の民間初の機械式製粉企業として創立し、製粉を主軸に長年事業展開してきました。現在は、食品事業が売上の6割以上を占め、多角的食品企業として成長路線を歩んでいます。2019年9月にはコーポレートロゴのデザインを変更し「いつも食卓に、ニップン」をスローガンに食シーンに欠かせない会社を目指して参ります。

創立
1896年(明治29年)9月
代表者
代表取締役社長 近藤雅之
本社所在地
東京都千代田区
売上高(連結)
3,353億9千9百万円(2019年3月期)