事例紹介

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写真:(左から)山田 哲郎 様、新里 紹太 様、服部 直子 様、溝口 義純 様

得意先様へのEDI推進による
受注業務効率化の取り組み

オリオンビール株式会社

得意先様へEDIを推進し、受注業務の効率化に取り組まれているオリオンビール様。
取り組みの背景や効果、今後の方針をうかがいました。(本文敬称略)

ご担当者様(取材当時)

  • ■オリオンビール株式会社
    営業本部 業務店部
    業務店二課長
    山田 哲郎 様

    SCM部
    物流管理課
    服部 直子 様

    経営管理本部
    ITソリューション部長
    溝口 義純 様

    経営管理本部
    ITソリューション部
    新里 紹太 様

EDI推進の取り組み

――はじめに貴社の事業概要についてお聞かせください。

溝口

弊社は1957年に創業者具志堅宗精(ぐしけんそうせい)が中心となり、「戦後沖縄の社会経済復興には第二次産業を興さなければいけない」という強い意志のもと設立されました。今日では、オリオンビールをはじめとした酒類清涼飲料事業のほか、観光不動産事業も展開しております。「オリオン」とは星座のオリオン座を指しており、オリオン座は南の星で沖縄のイメージにマッチすること、星は人々の夢やあこがれを象徴すること等から、1958年に一般公募によるビール名募集により「オリオン」が採用されました。「沖縄から、人を、場を、世界を、笑顔に。」をミッションに掲げ、沖縄と共に成長するオリオンビールを目指しています。

――貴社のEDI推進の概況についてお聞かせください。

溝口

弊社では2021年4月からファイネットの商品流通VANサービスを使った受注のEDI(データ交換)を開始しました。お得意先の皆様にはFAXや電話での発注からE D Iに切り替えていただくようエリアごとに段階的に依頼をしていきました。まずは2021年に沖縄本島の約60社、翌2022年には沖縄離島の約30社、2023年には沖縄県以外の約10社の得意先様とのEDI化を進めてまいりました。
現在(2023年5月時点)では約100社の得意先様からの受注をEDI化できており、受注件数(明細件数ベース)では90%以上がFAXや電話からEDIに変わりました。

――EDIを始められた契機はどのようなことですか。

服部

弊社では明細件数ベースで月間1万件以上の受注があり、EDIを導入する前は全てFAXや電話で受け付けておりました。そのため、基幹システムへの入力業務や受注返信のリファックスのほか、受注内容に不明点があれば確認のご連絡が必要になるケースもあり業務負荷が掛かっていました。また販路や商品の拡大にともなってこれらの受注業務の負荷も増大していくため、業務効率化が急務になっていました。

――EDI推進にあたってファイネットのサービスを選ばれた理由をお聞かせください。

新里

ファイネットの事は業界標準サービスとして耳にはしていましたが、実際にEDIを開始するにあたっては沖縄県外の一部と沖縄県内の得意先様にEDIの手段についてヒアリングを行いました。その結果、沖縄県外の得意先様はみなさんファイネットを利用しており、沖縄県内でもEDIを実施している得意先様についてはファイネットを利用している企業が最も多いという事が分かりました。これを踏まえてファイネットに決めたという経緯です。
また、ファイネットの商品流通VANサービスを利用すれば各得意先様と共通フォーマットでデータ交換することが可能です。そのため、受発注データを基幹システムに取り込む際も個別対応を最小化できます。

EDI推進の準備

――EDI推進の具体的な取組み内容についてお聞かせください。

新里

先ほどのヒアリングによって、県内ではEDIの経験自体が無い得意先様がかなり多い事も分かりました。そのようなEDI未経験の得意先様に向けては、より簡易にファイネットをご利用いただけるようにWebEDIをお勧めする方針といたしました。
具体的には、 WebEDIの卸向け発注機能にある「画面発注機能」を活用する事としました。これは弊社側でWebEDIに商品情報、取引先情報を予め各得意先様向けに登録をしておくことで、得意先様側ではそこから商品と届け先を選択して、発注数量、納品日など一部の項目のみを入力する事で発注できる機能です。この機能によって得意先様側では特段のシステム対応などは不要ですし、FAXより簡易に発注内容を送信でき、送信履歴や弊社側での受信状況もWeb画面で確認いただけますので、リファックスのチェックも不要になります。
既にファイネットを利用している得意先様には、その得意先様なりの利用方法のままEDI接続が出来ますし、WebEDIを利用される得意先様でも基幹システムから発注データを取り出してアップロード送信する事も可能です。

山田

EDI推進については、スタートの半年前の準備段階から営業部門・IT部門・物流部門が継続的に連携しながら役割を分担して取り組みました。
営業部門では得意先様向けのEDI化依頼文書を発信し、各担当者が得意先様と個別に調整を行いました。IT部門では社内システム開発を担い、ファイネット利用開始2か月前から受発注データの連携テストを開始しました。他にもファイネットの各種説明資料等を元に、得意先様向けのファイネット申請手続きに関するマニュアルを作成しました。物流部門では社内の業務フローの整理などを行いました。
これら3つの関係部門が集まる週次ミーティングを継続的に行い進捗状況と課題を確認しながら取り組みを進めました。
各得意先様のファイネットへの利用申し込み状況についても、ファイネットの営業担当者から進捗を共有いただき、それを元に弊社の各部門が連携しながらフォローを行い、場合によってはファイネットからもフォローしてもらいました。

――EDI未経験の得意先様へのフォローはいかがでしたか?

山田

営業担当者がマニュアルを読みこんでWebEDIの使い方を把握したうえで、各得意先様に寄り添ってフォローしていきました。中には、パソコンを買ってもらってインターネット回線を引いてというところからフォローさせていただいた得意先様もありました。そうした活動で出てきた得意先様とのQ&Aについても社内共有を行いながら進めた事でスムーズなフォローに繋げられたのではないかと思います。

――取組み開始から3年間で90%のEDI化は素晴らしい成果ですね。

山田

お得意先の皆様のご理解とご協力のお陰です。

服部

何よりもまず、毎日システムに手入力していた受注業務が自動化され、オペレーション担当部門の業務効率化が実現しました。EDI導入前は4~5名で1日かけて受注入力を行っていましたが、現在は1~2名で対応できるようになりました。受注入力業務が削減された分を別の仕事に割り当てる事が出来たのは大きな成果です。以前は繁忙期には受注入力を時間内に完了しなければならないためにランチも食べられない事がありましたが、今はそうした事は全く無くなりました。

山田

EDI化を進める過程で改めて業務プロセスやルールを社内で確認する事が出来た事も大きいです。現在も例外となるケースが残っており、まだ完全に業務の標準化ができたとまでは言えませんが、あるべき姿について関連部署間で認識合わせできたことは成果と言えるかもしれません。

今後の方針

――今後のEDI拡大方針についてお聞かせください。

新里

引き続き受注のEDI化を推進し業務効率化を進めていきます。また、受発注データ以外のデータ種についても現在進めている基幹システムの改修後、活用を検討していきたいと考えています。

山田

得意先様からは、発注した後の入荷の確定情報が欲しいというご要望もありますから、出荷案内データの活用も考えてみたいと思います。

新里

また次に注力したい業務効率化のテーマは、得意先様向けに発行する請求書の電子化です。2023年10月のインボイス制度、2024年1月の改正電子帳簿保存法への対応が迫っており、請求書の電子化は世の中で共通の課題です。まさにそうした背景から沢山のサービスやツールが出回っています。ファイネットが2023年3月に開始したファイル配信サービスにも期待しており、他社のサービスやツールと比較しながらファイネットの優位性、利用メリットを見極めているところです。

――最後にファイネットに期待することや課題などがあればお聞かせください。

溝口

先程話に挙がりました改正電子帳簿保存法、インボイス制度など、直近で予定されている法令対応について、ファイネットの加入企業がどのような対応を取られているのか等、業界共通の課題についての情報提供や情報交換の場があると大変ありがたいです。
たとえばメーカーが受発注データを利用している場合、受領注文書の電子保管の要件を満たすためにどういった対応が必要なのか。ファイネットに加入しているメーカーは1,535社(2023年5月末時点)ですから、同じ悩みを持つ企業がいると思います。そういった他社の取り組み状況が見えることで、業界全体の標準化、効率化が進んでいくのではないかと思っております。

――ご期待に沿えるよう引き続き取り組んで参ります。本日は貴重なお話をお聞かせいただき有難うございました。

CORPORATE PROFILE

オリオンビール株式会社

1957年5月創業。ホテル2社、泡盛メーカー1社を子会社にもつ酒類清涼飲料事業と観光不動産事業からなる沖縄のビールメーカーです。
沖縄県産酵母によるビール「オリオン ザ・プレミアム」や、完全循環型大麦を活用した「オリオン ザ・ドラフト」、県産素材をふんだんに生かした酎ハイ、泡盛、もろみ酢などを日本全国・海外12か国・地域で展開しています。

代表者
村野 一
資本金
3億7,800万円
売上高
217億円(2022年度)
従業員数
247名
本社
沖縄県豊見城市字豊崎1-411
工場
沖縄県名護市東江2丁目2番1号