事例紹介

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写真:幸地次長(左)と小林本部長(中)と松坂課長(右)

WebEDI活用による
EDI推進の取り組み

富永貿易株式会社

FAX受注からWebEDIを活用した受注へ。
受注改革を進めている富永貿易様へWebEDIサービス活用までの具体的な流れや課題、効果をうかがいました。(本文敬称略)

ご担当者様(取材当時)

  • ■富永貿易株式会社
    執行役員
    SCM本部 本部長
    小林 正直 様

    西日本営業本部
    次長/ユニットリーダー
    幸地 聡 様

    SCM部
    課長
    松坂 綾子 様

FAXからEDIへ

――はじめにWebEDIサービスの活用に至った背景・経緯をお聞かせください。

小林

富永貿易が受発注のEDI(データ交換)化を開始したのは16年前の2003年からです。当初はファイネットのサービスではなく、お取引先様が独自で開発したWebシステムから受発注データを受け取っていました。
その後、最初にファイネットを知ったのは、お取引先の大手卸様からFAX発注をファイネット経由でのEDIに切り替えたいというご要望があったことがきっかけです。

幸地

当時は神戸・東京・九州の3拠点それぞれで受注業務を行なっていたため、拠点ごとにEDIへの対応を判断しておりました。ファイネットのWebEDIサービスの利用は、12、3年前にお取引先様からのご要望をきっかけに九州で始まりました。

小林

ただし当時はWebEDIサービスの利用方法について、受発注データをシステムに取り込んで活用するものという認識が薄く、FAXでの受注と同じようにWeb画面で発注内容を確認するものと位置付けていました。WebEDIサービスを利用しているとはいえ、わざわざ紙に印刷して発注内容を確認し、それを受注システムに手入力していたため、受注担当者からは「これではWebEDIよりFAXで受注する方が楽だ」という不満の声もありました。
長らくそのような利用方法を続けておりましたが、今から7年前に基幹システムをリプレイスする際、システムをサポートいただいている会社のご担当者から「発注内容をデータでもらえているなら、わざわざ手入力せずにデータでシステムに取り込めば良い」とのアドバイスをうけ、データで活用することに取り組み始めました。
2、3年前に3拠点で行っていた受注業務を神戸に集約したことで、受発注EDI化についての全社的な対応が可能になったこともあり、ようやくファイネットの仕組みを理解し、便利な仕組みであることに気が付きました。

データ活用のスタート

――データ活用の取組みについてお聞かせください。

松坂

データ活用の取組み開始から、ファイネットのWebEDIサービスをデータ活用できるようにするまでには少々時間が掛かりました。個々のお取引先様独自のWebシステムとは違い、ファイネットのWebEDIサービスの場合、同じフォーマットで複数のお取引先様のデータが一括取得できるのですが、お取引先様ごとに商品コードや届け先コードの体系が異なるため、それをそれぞれ変換してシステム的に取り込めるよう対応する事にハードルがありました。
そのため2017年まではWebEDIから1日約200枚もの発注伝票を印刷し受注入力していました。2018年にファイネットに対応できるように基幹システムを改修したことで、受発注データを取り込むことができるようになりました。

小林

当時は松坂がシステム部門にいたため、ファイネットに対応したシステムを構築することに尽力してくれました。2017年にシステムを改修し、仕様を確定させるまで半年ほどを要し、2018年からようやく稼働し始めました。これでファイネットのWebEDIサービス利用での業務効率化がようやく実現しました。
それから、いよいよファイネット経由での受発注EDI化の拡大に取り組み始め、FAXで発注されているお取引先様にEDI化の打診を開始したのです。

幸地

ただ一方で、受発注データ内にお取引先様がセットされる「納品日(納入日)」については、現在システム的には取り込めておらず、先日付の発注が含まれていてもシステム上は全て最短での納品として一旦在庫引当処理してしまうため、データを取り込んだ後に手で納品日を一部修正する必要がある状況です。

小林

そういった意味ではまだまだ活用しきれていないとは思いますが、手入力が無くなったメリットは受注担当者も実感しています。現在では「納品日を修正することがなくなれば…」といった次のステップの要望も上がってきていて、第2段階として2019年春頃までには、データ内の「納品日」も取り込めるようにして、手修正が不要になるようにシステムを改修する予定です。

――お取引先様との調整でご苦労されている事はありますか?

松坂

お取引先様にこちらからEDI化をお願いした際に、受発注データを送っていただく条件として、出荷案内データの返信をご要望されるケースもあります。現時点では出荷案内データには対応できていないため苦戦しています。ただ、こちらも基幹システムを改修して実装する予定ですので、そうなれば受発注データと出荷案内データをセットで拡大していけます。
また、頂いた受発注データの内容について確認したい事がある場合に、先方の発注担当者にお伺いしても、実際にシステムを設定しているわけではないのでデータ作成仕様の事はご存じなく、結局誰に聞いたらいいのかわからず内容確認に時間が掛かってしまう事があり少し苦労しています。

EDI拡大で激減した作業量

――データ交換開始までのお取引先様との打ち合わせはどうされていますか?

幸地

今回は弊社からEDI化のお願いをしていったので、こちらの要望を伝えた上でお取引先様のご担当者様と打ち合わせをし、比較的スムーズにデータ交換を開始できたと思います。ただ、まずは弊社営業担当からお取引先様の仕入窓口にファイネット経由でのEDI化を打診していく進め方をしておりましたので、営業担当もシステムに詳しいわけではないために調整に時間がかかり苦労することもありました。今後はEDIについてはSCM部に話を振ってもらうようにと考えています。

小林

そもそも今まではファイネットを通じてお取引先様の担当者を紹介してもらえるということを知らなかったため、営業担当からお取引先様にEDI化の交渉をしてもらっていました。SCM部としても「やることはやっているのになぜ前に進まないのだろう」と悩んでいた頃に、一度ファイネットに直接相談してみようということになりました。ファイネットに先方のご担当者様を紹介していただけると知ってからは、一気に10社くらいの卸様と話が進み、データ交換を開始することが出来ました。このことを知らない企業様もあると思うので、この記事をご覧になってお気付きいただければ良いですね。

――WebEDIサービスの活用で改善された点をお聞かせください。

松坂

2017年度までのEDI化率は約55%でしたが、2018年度のEDI強化推進により65%まで上昇しています。これに伴って受注入力の時間も圧倒的に削減できています。EDI化が進んでいない頃では、最需要期の夏には20時頃まで翌日出荷分の受注入力をしていたこともあります。当時は殆どがFAX受注かつ在庫引き当ても手作業だったため、倉庫の方々にも大きな負担をかけてしまっていたと思います。
現在では、最需要期でも16時までには在庫引き当ても終わり、倉庫に出荷指示データを送ることができていて大きく改善されています。

小林

7年前に基幹システムをリプレイスしたことを契機として、受注入力作業に携わる人数も減っています。また受注拠点を集約して同じ場所で業務をすることで、お互い補完しあえたり、昼休憩を交代で回せる環境になっています。

EDI化率80%へ向けて

――EDI化についての今後の方針をお聞かせください。

小林

まず2019年の目標としてEDI化率70%を目指しています。その後2、3年でEDI化率を80%まで引き上げたいと考えています。そのためにはせっかくお取引先様からEDIのお話をいただいても、社内で連携できずに止まってしまっているケースも見受けられるので、そのようなチャンスを積極的に取り込んでいければと考えています。

松坂

既にファイネット経由でデータ交換をしているお取引先様でも、拠点によってFAX受注が残ってしまっているケースがあるということがわかりました。このようなお取引先様には個別にご連絡をさせていただき、EDIに切り替えていただけるよう交渉を進めています。これもEDI化率の拡大に繋がりますし、お取引先様のメリットにもなるでしょう。

小林

またFAX受注をしているお取引先様の中には取引の大きい企業も含まれており、受発注のEDI化に際して出荷案内をセットで送ることをご要望されている企業です。ここをEDIに切り替えられるよう2019年内に基幹システムを出荷案内にも対応させて、2020年には切り替えていければとも考えています。

幸地

出荷案内に対応したら教えてほしいと仰っているお取引先様も数社あるので、これが実現すると更にEDI化が進むと思います。

小林

2019年は今EDIで受注をいただいているお取引先様のFAX受注を減らしていくこと、2020年には出荷案内が条件となっているお取引先様とEDI化していきたいと思っています。

小林

富永貿易は名前の通り元は貿易会社であり、約25年前から飲料事業を始め、当時は卸流通という発想がありませんでした。そのため小売業と直接の取引も多く、小売業の個別Webシステムへの対応を行っているというのが現状です。ここ数年に人材不足が顕著になってきて、マンパワーで対応することが難しくなっています。
これに関してもできる限り自動化できるように社内で舵を切り直している段階です。

――最後にファイネットに期待することをお聞かせください。

松坂

ファイネットには、先方のご担当者をご紹介していただいたり、仕様確認など都度疑問があれば問い合わせをして、解決していただいているので助かっています。

幸地

商品リニューアル時にJANコードを変更した場合に、旧JANコードのままで受発注データがくると、システム上取り込むことが出来ずにエラーになってしまい、結局それだけは手入力しなければいけません。そういった商品コード変更等をお互い一元管理出来るシステムがあるとありがたいですね。

小林

大手卸様からのご要望でファイネットを知った経緯もあって、ファイネットは卸にメリットがあるものという認識をしてしまい、メーカーにもメリットがあることを理解するまでに時間が掛かってしまいました。ファイネットには、我々メーカーにもメリットがあるサービスだということを、もっと積極的にアピールして普及していっていただきたいですね。
受発注のEDI化率という事では、既に非常に高い率を達成されているメーカー様もいると伺っています。それが富永貿易のEDI化率もまだまだ高めていけるという気づきになって、ファイネットのWebEDIサービスの活用に繋がりました。
我々のような中小規模のメーカーにおける平均的なEDI化率はどのぐらいなのかなど、ベンチマークになる指標をファイネットで調査しユーザーに提供いただけると、富永貿易の位置づけも把握できますし、多くのメーカー様にとってもファイネットの活用メリットを知っていただける事につながるのではないかと期待しております。

CORPORATE PROFILE

富永貿易株式会社

1923年に神戸で貿易商社として創業した富永貿易は、「食」を軸としながら、 貿易商社として培ってきたノウハウとネットワークを活かし、 時代時代で必要とされているニーズを本質的な発想でカタチにしてきました。 豊かな食を支える企業として、国内外のお客様に喜んでいただけるよう、 これからも社会から必要とされる存在を目指して参ります。

創業
1923年(大正12年) 5月
代表者
取締役社長 富永昌平
本社所在地
兵庫県神戸市中央区
売上高(連結)
393億円(2017年12月期)
主要取扱商品
「 神戸居留地」ブランドを始めとする清涼飲料及びその原料、アルコール飲料、ナッツ類及びドライフルーツ、紅茶、その他の食料品, 飲料用空缶・ペットボトル