事例紹介

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統一取引先コードを活用した
取引先マスタ管理効率化の取り組み

アサヒグループ食品株式会社

取引先とのEDIで受信したデータは日々の業務活動に直結していることから、コード変換をはじめとするマスタ情報のメンテナンス作業は迅速且つ効率的に進める必要があります。そこで、統一取引先コードを活用することで取引先マスタ管理の効率化を進めているアサヒグループ食品様に、取り組みの状況についてお話を伺いました。(本文敬称略)

ご担当者様

  • ■アサヒグループ食品株式会社
    企画本部 経営企画部 課長補佐
    安福 達也 様

EDI推進とともに統一取引先コードを活用

――はじめに、アサヒグループ食品様における統一取引先コードのご利用状況についてお聞かせください。

安福

 弊社では、受発注、出荷案内、販売実績、販売促進金請求データのEDIで統一取引先コードを利用しております。とりわけ、販売実績データについては、統一取引先コードが登録されている店舗・事業所と弊社が管理対象としている販売先がほぼ一致しているため、統一取引先コードを自社コードとして利用しています。

――統一取引先コードを利用されることになった経緯についてお聞かせください。

安福

弊社は、アサヒビールを始めとするアサヒグループの中で食品事業を展開する会社で、元々は、アサヒフードアンドヘルスケア、和光堂、天野実業の3社により展開していた菓子、健康食品、サプリメント、ベビーフード、フリーズドライ食品などの製造販売事業を2016年に統合した会社になります。

会社設立当初は、旧事業会社ごとに商取引情報を別々に管理していたこともあり、業界標準コードを活用することへの意識はほとんどありませんでした。やがて、アサヒグループ食品という1つの大きな会社になって、幅広いカテゴリーで事業を展開することになりましたが、そのシナジーを生み出すには、商取引情報をいかに有効活用し、事業展開に繋げるかということが重要なテーマとなりました。

これを踏まえた対策として、旧事業会社単位で存在していた販売管理システムを統合するとともに、商取引情報のEDI化を進めることになりましたが、その過程で、商取引情報のボリュームが増えるとともに、商品や取引先マスタ情報のメンテナンスが大きな課題となりました。そこで、グループ会社であるアサヒビール、アサヒ飲料が、早くから商取引のEDI化を進めるとともに、商品コードと取引先コードともに業界標準コードを積極的に活用することで、EDI運用の効率化を進めていたこともあり、弊社もこれに倣って、業務の効率化を進めることになりました。

統一取引先コードの本格的な活用は、2017年7月のシステム統合からになります。

マスタ情報のメンテナンス作業負荷を軽減

――販売実績データでは、統一取引先コードを自社コードとして利用をされているとのことですが、貴社にとってどのようなメリットがあるのでしょうか?

安福

弊社では管理対象としている販売先の売上実績を毎月月初第5営業日までに確定させ、営業部門などが利用する販売管理システムに反映させています。販売実績データは全国の卸様から日々EDIで取得しており、ほぼ毎日のように社内の取引先マスタに登録がされていない新しい取引先が出てきます。

取引先マスタのメンテナンスについて、月中は比較的余裕をもって対応できるものの、月初の締日が近づくにつれて迅速な対応が必要であり、そこに作業負荷が集中してしまいます。卸様のプライベートコードでデータをいただくと、それがどこの取引先であるかを特定するのに時間を要しますが、統一取引先コードであれば、取引先の特定作業がスムーズに進みます。もちろん、販売実績データの取得先である卸様に統一取引先コードへのご理解・ご協力をいただいていることも重要なポイントでありますが、とにかく、統一取引先コードとそれに紐づくマスタ情報を利用することによって、とても効率的に取引先マスタ情報のメンテナンスが出来る。これが最大のメリットであります。

――取引先マスタ情報のメンテナンス作業はどのようにされているのでしょうか?

安福

販売先との取引に関する情報の管理は、私が所属する経営企画部が主管部署になります。取引先マスタ情報の管理にあたって、受信した販売実績データの中で弊社の取引先マスタに登録がない取引先があったら、ファイネットさんの統一取引先コード管理システムで検索を行います。その取引先のデータがあればその内容で弊社の取引先マスタに登録を行いますが、データがなかった場合には、統一取引先コードの登録申請を行っています。おおよそ申請の翌営業日には必要としているコードが登録され、申請内容はコード管理センターさんにしっかりチェックいただいているので、とてもありがたいです。

今後については、ファイネットさんが提供している追訂情報オンラインデータという取引マスタの更新差分データを活用することで、メンテナンス作業のさらなる効率化を目指したいと考えています。

――受発注データや出荷案内データでの活用状況はいかがでしょうか?

安福

弊社としては、受発注データと出荷案内データについても、統一取引先コードによる運用に統一していきたいと考えています。ただ、現状では弊社と接続相手卸様のいずれも、物流系システムのマスタ情報はプライベートコードによる運用からスタートし、運用途中のコード変更はリスクが大きいことから、既存の接続相手卸様については、プライベートコード運用の割合が多い状況となっています。一方、新規の接続相手卸様については、接続開始交渉時に商品コードと取引先コードともに業界標準コードによる運用を提案しており、徐々にですが、統一取引先コードによる運用先が増えております。

統一取引先コード運営部会への参画

――安福様には統一取引先コード運営部会メンバーとして、統一取引先コードの維持・管理に関する課題検討にご尽力をいただいております。

安福

2019年にファイネットさんが統一取引先コード運営部会を立ち上げたタイミングで運営部会メンバーとなり、統一取引先コードの維持・管理対応に関わるようになりました。EDIを実施している中で様々な運用課題がありますが、取引先コードに関する課題があれば、運営部会の検討課題として提起するようにしています。

例えばですが、販売促進金請求データにおいて、小売の情報を表す「得意先コード」という項目があり、小売本部など商談先の事業所コードをセットすることになるのですが、現状ではこの項目に卸様のプライベートコードがセットされているケースが大半です。小売店舗はほぼ100%統一取引先コードがセットされていることを踏まえますと不思議に思いました。弊社としては、統一取引先コードに統一していただいた方がコード管理の点で楽になりますので、運営部会の際に付番ルールの定義見直しを含めて課題として提起させていただきました。結果的に、小売本部は統一取引先コードの登録対象であることが確認できましたので、接続先である卸様と調整を進めながら、統一取引先コードに統一できればと思います。

商取引では欠かせないコードの標準化

――最後になりますが、弊社に期待されることがございましたら、お聞かせください。

安福

ファイネットさんが課題として取り上げられている通り、酒類業界と比べると食品業界ではEDIでプライベートコードを利用している割合が多いと感じています。プライベートコードで整備をしてきたマスタ情報を業界標準コードに置き換えるということは、かなりのパワーが必要であるとともに、運用上のリスクも考慮しなければなりません。目先のことだけを考えてしまうと、現状からの変更は難しいのかも知れませんが、業界を取り巻く環境に目を向けますと、物流問題への対処を始めとして商取引における様々な課題が存在しており、商取引情報のスムーズな連携実現が1つのキーワードとなっています。そうなると、課題解決に向けてコードの標準化というのは避けて通れませんし、とても重要な取り組みだと思っています。す。

当然ながら、我々も業界を代表する企業としてコードの標準化に向けて努力を続けるとともに、ファイネットさんについても、この取り組みの重要さを幅広い視点から業界のみなさまに情報発信をしていただけたらと思います。

――本日は、いろいろなお話しを聞かせていただきまして、誠にありがとうございました。


CORPORATE PROFILE

アサヒグループ食品株式会社

「長期ビジョン」
私たちは、「おいしさ+α」を追求し、「心とからだの健やかさ」の実現に貢献する企業を目指します

アサヒグループ食品は、アサヒグループの中で国内食品事業を担う企業として事業活動に取り組んでいます。「菓子、健康食品、サプリメント、乳幼児用ミルク・ベビーフード、介護食品・介護用品、フリーズドライ食品、食品原料」などの幅広い商品ラインアップを通じて、お客様の様々なライフスタイル、ライフステージで「心とからだの健やかさ」をお手伝いする、+αの新たな価値のご提案にチャレンジしてまいります。