事例紹介

写真:(左から)河野様、関様、奥村様、落様、根岸様
仕入先への販売促進金請求書発送業務を電子化
「印刷」「仕分け」「封入」「郵送」の作業負荷を大幅に軽減
伊藤忠食品株式会社
小売業とメーカーを結ぶ伊藤忠食品様。同社では従来、多大な作業負荷とコストを要していた仕入先に対する販売促進金の請求書発送業務を、ファイネットの「ファイル配信サービス」により効率化しました。請求書の発送に関わる印刷、仕分け、封入、郵送の作業の約80%を同サービスによって電子化し、現場の工数とコストの大幅な削減を実現しています。(本文中敬称略)
ご担当者様(取材当時)
- ■伊藤忠食品株式会社
情報システム本部
基幹システム推進部 部長
根岸 洋一 様
情報システム本部
基幹システム推進部
会計システムチーム主任 兼 DX推進室
落 祐里 様 - ■ISCビジネスサポート株式会社
取締役
営業経理統括部長 兼 管理部 部長
河野 崇 様
東京営業経理部
部長 兼 未収経理チーム チーム長
奥村 衣代 様
東京営業経理部
未収経理チーム 主任
関 恵里奈 様
※記事内のデータや組織名、役職などは2025年1月30日の取材時のものです。
販売促進金請求書の送付が負担
――伊藤忠食品様の事業についてお聞かせください
根岸

当社は、1886年に洋酒食料品雑貨の輸出入商及び卸問屋業として創業しました。洋酒、缶詰、雑貨などの舶来品の取り扱いから事業をスタートし、その後の国内食品産業の発展や時代の変化に対応しながら、日本の食とともに歩んできました。
特に近年では、少子高齢化や単身・二人世帯の増加など、人口動態や社会構造、消費環境による食品市場の変化に応じて、求められる商品やサービス、購買シーンが急激に多様化しています。
こうした状況の中、当社は約4,000社の仕入先様との取引により約50万アイテムの商品を絶えず流通させて、約1,000社の得意先様に納品しています。特に最近では、デジタルサイネージを利用した小売業様のリアル店舗における販売促進にも注力しています。
――貴社の請求書発送業務が抱えていた課題について教えてください。
河野

メーカー様などからの商品の仕入れについては、販売条件に沿ったリベートを販売促進金として請求しています。月当たり発送される請求書の枚数はおよそ3万枚と非常に膨大です。その発送業務については、毎月月初の3~4日間、東京・大阪の2つの拠点で、計10名の人員が都合150時間程度を費やして、請求書の印刷から始まり仕入先様ごとの仕分け・封入・郵送の作業を実施していました。それに要する作業負荷やコストをいかに削減するかが、切実な課題として浮上していたのです。
――そうした課題を解消するために、ファイネットのファイル配信サービスを導入されました。導入の経緯や選定のポイントをご紹介ください。
根岸
もともと当社では、仕入先様や得意先様との間の受発注など商取引に関わるデータ交換のためのEDI基盤として、ファイネットが提供する商品流通VANサービスを活用してきました。そうした経緯もあって、以前よりファイル配信サービスの活用についてもご提案をいただいておりました。先程の課題解消に向け、請求書発送業務の電子化に向けた可能性を探っていた当社では、ファイネットのファイル配信サービスと他の企業が提供する同種のサービスと比較検討を重ねた結果、2020年秋頃にファイル配信サービスを採用することに決定しました。
選定のポイントとしては、ファイネットは酒類・加工食品業界における共通サービスを提供している企業であり、導入・運用に関するコストが圧倒的に安価でした。また、業界の商慣習に合わせた標準的な帳票レイアウトが用意されており、そこに当てはめるデータを用意するだけで運用可能であるため導入準備も容易でした。そのような点が、他社の提供するサービスと比べて大きなアドバンテージでした。さらに、すでに大手卸様の多くがファイル配信サービスを活用して販売促進金請求書の電子化を実現されていたことも大きな決め手となりました。

ファイル配信サービスの概要
リスク回避のため移行は段階的に
――ファイル配信サービスの活用による請求書送付の処理フローについて教えてください。
奥村

まず、基幹システム側で請求書関連のデータを作成して、ファイル配信サービスに送信します。これらの処理をするプログラムは、伊藤忠食品の情報システム部門に開発してもらいました。送信後は、ファイル配信サービスで請求書のPDFファイルを作成し、あらかじめ登録した仕入先様のメールアドレス宛てに、帳票公開通知のメールが送付されます。
――ファイル配信サービスへの切り替えに際して、社内の各事業部門及び仕入先への案内はどのように進めましたか。
河野
社内の関係部署である営業部門に対しては、同部門の会議において周知を図りました。一方、仕入先様には、対象となる企業を選定の上、「ファイル配信サービスによる請求書送付変更依頼」の案内文書を送付するとともに、Microsoft Forms経由で送付先のメールアドレスを入力いただけるように依頼しました。紙ベースでの請求書送付からファイル配信サービスへの移行についての諾否を確認し、ご了承をいただいた仕入先様については、入力いただいたアドレス宛てに「ファイル配信サービスご紹介資料」、及び受信企業向けの「ファイル配信サービス操作マニュアル」をお届けしました。
実際の移行については、まず10宛先程度に2022年2月締め分の請求書からファイル配信サービスでの送付を開始しました。リスク回避の観点から、初期導入の規模を絞って問題がないかどうかを見極めました。もちろん、大きな問題は発生せず、その後月当たり約100宛先ずつ増やしていき、2023年3月頃までには移行をご了承いただいた仕入先様のすべてに対してファイル配信サービスによる請求書の送付が完了しました。その後は現在に至るまで極めて安定的に運用を続けております。
販売促進金請求書の約80%を電子化
――ファイル配信サービスの導入による成果をお聞かせください。
落

請求書送付をファイル配信サービスに移行したことで、従来郵送により行っていた3万枚の請求書のうちの約80%が電子化されました。これにより、これまで多大な時間と労力を要していた、請求書関連の作業が大幅に削減しました。併せて、請求書の印刷や封筒代、そして郵送料などのコスト削減にもつながっています。
関

ファイル配信サービスでは、請求書を送付したという証跡がファイネット側にしっかりと残せることも重要です。請求書を物理的にお届けしていたときには、郵送状況の悪化による到着の遅延や、仕入先様側での確認漏れなどに起因して「請求書を受け取っていない」というお問い合わせをいただくことも度々ありました。ファイル配信サービスでは請求書の送付状況や開封状況が確認できるため、そうした問い合わせがあったとしても、送付に関わる証跡を明確にお示しできます。
ファイル配信サービスでは請求書の到着が遅延することもありませんので、仕入先様からは、毎月請求書の受領を以前よりも数日早く、また決まった日程で確実に行えることを高く評価いただいています。
――今後に向けた展望やファイネットへの期待についてお話ください。
根岸
当社の仕入先様は、毎月4~5社程度増えている状況です。新たな仕入先様への販売促進金に関わる請求書送付は、原則としてファイル配信サービス経由で行うこととし、引き続きさらなる作業負荷の軽減やコストの削減を図っていきたいと考えています。
ファイネットに対しては、酒類・加工食品業界における企業間情報交換に関わる業界共通基盤の運営を通じて、会員各社ひいては業界全体に様々な価値を提供し続けてくれることを期待しています。
――期待に沿えるよう引き続き取り組んでまいります。本日は貴重なお話をお聞かせいただきありがとうございました。
CORPORATE PROFILE
伊藤忠食品株式会社

- 代表者
- 岡本 均
- 創業
- 1886年2月11日
- 本社所在地
- 【大阪本社】大阪府大阪市中央区城見2-2-22
【東京本社】東京都港区元赤坂1-2-7 赤坂Kタワー - 事業内容
- 酒類・食品の卸売およびそれに伴う商品の保管、運送ならびに各種商品の情報提供、商品流通に関するマーチャンダイジング等
■経営ビジョン
価値創造に向けて進化するグッド・カンパニーへ
■企業理念
常に時代の変化と要請を先取りし、健康で豊かな食生活創りを通じて消費者と社会に貢献します
当社は1886年の創業以来「酒類・食品卸売業」として、全国約4,000社のメーカーから商品を仕入れ、約50万アイテムを全国約1,000社の小売業にお届けしています。商品の保管、運送ならびに各種商品の情報提供、商品流通に関するマーチャンダイジング等を主とした事業活動を展開しながら、それぞれの機能を駆使することで商品の安定供給と流通全体の効率化を可能にし、豊かな食生活を支えるライフラインとしての役割を果たしています。