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「統一取引先コード管理サービス」への期待

キリンビジネスシステム株式会社

酒類業界のメーカー/卸売業を中心に長く活用されている「統一取引先コード」。これまでその付番管理は「酒類食品全国コードセンター(SSZCC)」が担ってきましたが、2019年9月30日より、ファイネットの「統一取引先コード管理サービス」に移行しました。これまでの経緯と今後の期待について、SSZCC最後の運営委員長に伺いました。(本文敬称略)

ご担当者様

  • ■キリンビジネスシステム株式会社
    システム基盤統轄部
    ワーキングスタイル変革グループ 担当部長
    辻 佐知 様

自社の取引先コードとして利用

――はじめに、キリングループ様における統一取引先コードのご利用状況についてお聞かせください。

統一取引先コードは、キリンビール、キリンビバレッジ、メルシャンをはじめとするキリングループ共通の自社取引先コードとして利用しております。日々、卸店様から販売実績データを取得しておりますが、小売店情報は統一取引先コードをキーに管理をしております。また、物流系情報である受発注や出荷案内データにおいても、納品先や帳合先情報として統一取引先コードを利用しております。

――自社の取引先コードとして利用されているとのことですが、そうされた背景についてお聞かせください。

酒類業界では、1980年代には大手メーカー・卸店間を中心にEDIが実施されており、その頃から多くの企業で、相手先プライベートコードから自社プライベートコードへの変換作業に多くの人手がかかっていて、大きな課題となっておりました。解決策として、業界共通の取引先コードを作ろうということになり、1985年に酒類食品全国コードセンター(SSZCC)を設立して、統一取引先コードの付番・管理を行っていくことになりました。キリングループでは設立当初からSSZCCの運営に参画させていただき、いち早く統一取引先コードを自社の取引先コードとして採用し、業務効率化を進めて行くことになりました。

スピーディな販売実績の反映に貢献

―――統一取引先コードと卸店プライベートコードとで、マスタメンテナンスの作業時間にどれくらい差が出るものなのでしょうか?

取引先コードの管理については、グループ全体でキリンビジネスシステムに集約しております。販売実績データを受信する際に発生する小売店コードの変換エラーを例に挙げましょう。

まず、キリングループでは、統一取引先コードを自社コードとしているため、統一取引先コードであれば、販売実績データを通じて初めて受信するコードであっても、どのコードがどの店舗であるかの情報をあらかじめ整備しておくことが可能であり、この事前整備により変換エラーを大きく削減できます。

一方で、卸店プライベートコードは過去に受信したことのないコードであれば、すべてエラーとなります。よって、卸店プライベートコードによる変換エラーの発生率は、統一取引先コードと比較して、23倍強となっております。エラー1件当たりの救済作業時間は両者ではほとんど差がありませんので、両者のエラー発生件数に比例してエラー救済の作業時間がかかることとなります。受信レコード数の割合は、統一取引先コードの8割に対し、卸店プライベートコードは2割の状況ですが、エラー救済総作業工数は、上記のエラー率の関係で、卸店プライベートコードは統一取引先コードの4倍以上となっております。

――マスタメンテナンスがスムーズになるということは、営業のみなさまの販売分析がスムーズになるということですね。

営業部門では、特に新店の開店や新商品の発売時など、販売初日の実績動向をいち早くキャッチしたいという強いニーズがあります。小売店コードで変換エラーが発生しますと、営業部門に対する販売実績の反映が、データ受信の翌日から翌々日以降に遅れることになり、営業活動に貢献できなくなります。

私はキリンビジネスシステムの一員として、コード変換エラー対応に奮闘している現場におりましたが、営業部門からの期待がとても大きいことを、日々肌で感じておりました。統一取引先コードを自社コードとして利用していることの意義はとても大きいと考えております。

会員に支えられ情報はいつでも新鮮

――昨年まで、SSZCC運営委員長として、統一取引先コードの普及推進にご尽力いただきました。これまでのコード利用状況や課題についてお聞かせください。

SSZCCは会員制による任意団体として設立されております。会員数は114社で、酒類メーカー様や酒類を扱う卸店様が会員の多くを占めております。登録コード件数は約43万件に達し、国内の小売店舗はほぼ100%網羅できております。

統一取引先コードは、会員自身が新規、訂正、抹消等の申請を行います。酒類や食品の販売先は日々変化しておりますが、取引の当事者である会員のみなさまにより、最新の情報を申請いただいているため、マスタ情報の精度は高いレベルを維持できています。参考までに、直近1年における申請件数の傾向は月間2,000件規模でした。

課題については、食品メーカー様や食品の取り扱いをメインとする卸店様での普及が進んでいない点です。新たにEDIを始める際など機会があれば、統一取引先コードのご利用を勧めて参りましたが、道半ばという状況です。

ファイネットへの業務移管に向けて

――統一取引先コードの付番・管理業務をSSZCCからファイネットに移管することになりました。その経緯についてお聞かせください。

長年、統一取引先コードの付番・管理業務および各種会議体の事務局業務を行っていただいていた委託先様より、SSZCCの運営業務について受託を終了したいとのご相談をいただきました。このご相談をいただいた際、現在普及している統一取引先コードが利用出来なくなることによる業界への影響がどこまで及ぶのかという不安が頭を過りました。

これを受けて、すぐさま、SSZCC運営委員会を招集し、SSZCCの運営をどうすべきかについて検討することになりました。運営業務の委託先選定の条件として、①酒類・加工食品業界に精通し、②企業間情報の標準化・業務効率化を推進でき、③取引先コードの統一化やコード管理の重要性を十分に認識いただき、④継続的且つ安定的にシステムサービスが提供できる企業が良いということになりました。

検討を重ねた結果、企業間データ交換サービスで統一取引先コードを採用しており、また、「酒類・加工食品業界標準化推進会議」での取り組みとして統一取引先コードの普及推進活動を展開しているファイネットしかないという結論に至りました。

ファイネットに業務引き受けのお願いをさせていただき、ファイネットのサービスとして引き受ける方向でご検討いただくことになりましたので、その後協議を重ね、2018年6月のSSZCC会員総会にて、ファイネットへの業務移管を正式に決定いたしました。

――SSZCC運営委員長を務められた際に、ご苦労されたことはございますか?

やはり、統一取引先コードの付番・管理業務の移管対応で苦労をいたしました。本件に関する会員のみなさまのお考えは様々でした。これらのお考え、ご要望を踏まえながら、運営委員のみなさまとともに、どの企業に業務を委託すべきか検討を重ね、何とか最終方針をとりまとめるに至りました。今までに、多くの企業に跨ってひとつの方針を導き出すような仕事を経験したことがなく、自身にとって貴重な経験となりました。

業界全体のビジネス円滑化を目指して

――最後に、ファイネットへの期待についてお聞かせください。

ファイネットへの業務移管を機に、商品流通VANサービスユーザー様が無料で統一取引先コードを利用することができるようになり、とても感謝をしております。サービス利用の無料化に伴って、酒類業界のみならず、食品業界についても、より活発な普及推進活動を進めていただけたらと思います。

統一取引先コードの存在が幅広く業界に浸透することで、EDIデータにおける利用が増え、1日でも早く、プライベートコードが減ったよねということが実感できる状態に持っていければと思っております。

物流領域では誤配送の防止など物流全般の業務効率化を、また、営業領域では販売実績データのエラー対応削減による営業へのスピーディな実績反映と、販売促進金データのさらなる利用促進を目指すことで、業界全体におけるビジネスの円滑化に拍車をかけられたらと思います。

――引き続き、「酒類・加工食品業界標準化推進会議」での活動を通じ、コードの標準化に対するみなさまのご期待に沿えるよう、取り組んで参ります。本日は、貴重なお話しをお聞かせいただき、ありがとうございました。


CORPORATE PROFILE

キリンビジネスシステム株式会社

社会における永続的、長期的なキリンの存在意義
キリングループは、自然と人を見つめるものづくりで、「食と健康」の新たなよろこびを広げ、こころ豊かな社会の実現に貢献します。

お客様の求めるものを見すえ、自然のもつ力を最大限に引き出し、それらを確かなかたちとして生み出していくモノづくりの技術。私たちは、こうした技術によって、お客様の期待にお応えする高い品質を追求してきました。これからも、「夢」と「志」をもって新しいよろこびにつながる「食と健康」のスタイルを一歩進んで提案し、世界の人々の健康・楽しさ・快適さに貢献していきます。