事例紹介

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写真:(左から)伊藤 勝巳様、山内 達次様、掃部関 治彦様

販売促進金EDI推進による
業務効率化の取り組み

株式会社 Mizkan

販売促進金の請求書処理に係る業務負担解消を目的に販売促進金EDIを推進されているMizkan様。販売促進金EDIを推進する取り組みの背景や効果について伺いました。(本文敬称略)

ご担当者様(取材当時)

  • ■株式会社 Mizkan
    取締役
    営業本部長
    伊藤 勝巳 様

    営業本部 営業統括部
    営業推進課 専任課長
    掃部関(かもんぜき) 治彦 様

    営業本部 営業統括部
    営業推進課
    山内 達次 様
  • ■株式会社 Mizkan Partners
    情報システム部
    システム開発2課
    籾山 和夫 様
    ※オンラインにて参加

※本取材は2021年1月に実施いたしました。

EDI推進の取り組み

――はじめに貴社の事業概要についてお聞かせください。

伊藤

弊社は1804年(文化元年)に知多半島・半田で創業した家庭用及び業務用の調味料、加工食品、納豆の製造販売をしている会社です。もともとは造り酒屋で、初代中野又左衛門がお酒づくりから生じた酒粕を原料に発酵という自然の力を活かしてお酢を作ることから事業が始まりました。今日に至るまでには、1964年(昭和39年)に主力商品であるぽん酢「味ぽん」を発売し、1997年(平成9年)には納豆事業に本格参入しました。さらに2014年(平成26年)に米国のパスタソースブランド「RAGU(ラグー)」と「BERTOLLI(ベルトーリ)」を取得するなど幅広く商品を取り扱うようになっております。
社業においては企業理念である2つの原点、「買う身になって まごころこめて よい品を」と「脚下照顧※に基づく現状否認の実行」を永遠に守り続け、限りない品質向上による業績向上を目指しております。2018年には10年先の未来へ向けたお約束として「ミツカン未来ビジョン宣言」を策定いたしました。具体的には3つのビジョンがあり、1つ目は「人と社会と地球の健康」です。創業当初から良質な醸造酢をつくるために深く関わっている水に感謝し、これからも水を大切にした事業活動を行っていく事としています。内容は博物館MIM(ミツカンミュージアム)でご紹介しておりますので是非ご来場ください。2つ目は「新しいおいしさで変えていく社会」です。「発酵技術」をはじめとした「おいしさと健康を引き出す技術」と健康機能や原料の「エビデンス」を開発し、おいしさと健康を一致させる努力を続けることで新しい食のあり方を世界の人々とコミュニケートしていきます。3つ目は「未来を支えるガバナンス」です。世界で束ね、地域で活かし、おいしさを広げるガバナンスを推進し、100年先も「やがて、いのちに変わるもの。」を育む変革と挑戦の企業であり続けたいと考えております。
※脚下照顧:現状に満足せず、己を知り、常に挑戦すること

――これまでのEDI推進に向けた取り組みについてお聞かせください。

籾山

1991年に出荷案内データを送信することから開始し、翌年、受発注データの受信を開始しました。受発注は物流部門、出荷案内は情報システム部門が主管となり現在では受発注は115社、出荷案内は47社の取引先様とデータ交換を行っております。また、EDI化率は明細行ベースで受発注が92.3%、出荷案内が93.4%とそれぞれ90%以上のデータ化を実現しております。出荷案内では、データで受け取ることが出来ない取引先様に対してファイネットが出荷案内データを出荷案内書に変換してFAXで送信するというサービスを利用しており、それがEDI化率を高めている要因でもあります。

掃部関(かもんぜき)

営業部門では自社商品の配荷状況の把握やセールスプロモーションの効果測定のほか、小売店様との取引状況の確認や営業パーソンの実績管理をするために販売実績データの受信と活用を進めています。また、販売促進金処理に関わる事務作業の効率化を目的に販売促進金データの送受信も進めております。

販売促進金EDI

――販売促進金EDIでは直近1年でデータ交換先が大幅に増加しました。推進に至った経緯についてお聞かせください。

山内

販売促進金EDIは2003年から請求データの受信と支払データの送信を開始しましたが、取引先様からご要望があれば都度対応を行うといったことで、こちらから積極的にお声掛けはしていませんでした。そのため2013年時点で6社とデータ交換を行っていましたが、2019年までの6年間で新たにデータ交換を開始した取引先様はございませんでした。
一方で、請求書を紙で受領した場合、販売条件処理システムへの手入力が必要となります。その作業は内務スタッフが対応しておりますが品番の把握や入力速度など担当者のスキルに頼る部分が大きく、正確性や処理工数にバラつきがありました。請求件数が多い取引先様を担当すると自ずと作業時間が増えてしまいますが、後続業務のスケジュールは決まっているため期間内に作業を完了させることに相当な負荷がかかっていました。
そのような状況の中、1年ほど前にある取引先様から販売促進金請求書をWebサイト経由で受領して欲しい、というご依頼をいただきました。その取引先様は請求件数も多く、入力作業に時間がかかっていたため、こちらからEDI化を打診したところ快くご対応いただけました。その結果これまで多くの時間を費やしていた入力作業が大きく削減され、改めてその効果を再認識いたしました。かねてより営業本部の重点取り組みとして「デジタルを活用した内務業務の効率化と標準化」を掲げておりますが、この件がきっかけとなり販売促進金のEDI化が有効なアプローチであると判断し、主体的に推進に取り組むことを決定しました。取引先様のご協力により直近1年間で6社と新たにデータ交換を開始しましたが、今後更に相手先を増やしていきたいと考えております。

――販売促進金EDI推進によって得られた成果をお聞かせください。

掃部関

販売促進金請求データを受信すると請求内容が自動的にシステムに反映されるため手入力が不要となり、この部分だけでも業務全体の約60%を削減することができています。加えて先ほど述べたように内務スタッフごとにバラつきのあった業務精度や作業負荷についても平準化が図れるようになりました。さらに周辺業務においても請求書を仕分けする作業や請求内容と実際に小売店様に納品された実績を照合する作業、請求内容の確認から支払内容の確定までにかかる作業が早期化されるため販売促進金処理全体を通して作業時間を大幅に削減することができています。また、弊社では販売促進金支払データの送信も行っております。そのため取引先様側でも請求内容との照合を自動化することができ、入力作業が効率化されるため、弊社同様、処理完了までにかかる作業日数の短縮や作業の早期化が実現されているとお聞きしております。販売促進金EDIは双方にとって大いにメリットがあるデータだと感じております。

――販売促進金EDI推進の進め方や取引先様へのアプローチ方法をお聞かせください。

山内

まずは営業統括部において請求件数が多い取引先様を選定させていただき販売促進金EDIが実施可能か営業担当者を通して打診しております。打診した取引先様の中にはEDI担当者に到達することができないこともあり、その際はファイネットに仲介いただきEDI担当者をご紹介いただくこともありました。

籾山

販売促進金EDIが実施可能というご返答をもらった取引先様とはEDI担当者同士でデータに使用される項目やセットされるコード、漢字の使用有無などを事前に確認します。取引先様によって運用方法が多少異なることがあるため打合せをする際は時間をかけてお互いの認識を合わせるようにしています。そのためコロナ禍でもオンラインによる打合せだけではなく必要に応じて直接お会いして打合せすることもありました。打合せ後はサンプルデータをファイネット経由、もしくはメール添付で送ってもらい、販売条件処理システムに連携できるよう設定作業を行います。問題なく取り込めることが確認できましたら本格的にデータ交換を開始しております。

今後の方針

――今後の方針をお聞かせください。

伊藤

営業をサポートする部門では、今回お話ししたデータ交換に関わる業務の他に調理支援や得意先提案に向けた実績分析及びマネジメントに向けた実績分析の大きく分けて3つの役割を担っています。特にデータに関する業務については、「いつでも、どこでも、誰でも」対応できるようにしていきたいと考えています。例えば地方エリアの業務を東京の担当者が対応するといったことができるようにすることで、効率化、生産性向上につながれば良いと考えています。そのためにも単純作業はデジタルを活用し積極的に効率化と標準化を図っていきます。さらに空いた時間で業務全般の品質を上げることに取り組んでいきます。営業活動においてはオンラインによる商談が進んだことで本社のマーケティング担当が現地に移動せず同席できるようになっており、今後は動画を活用していくことで効率的に提案内容の質を上げることが出来ないか考えています。コロナ禍の中、消費者の購買チャネルやメニューに対する意識が急速に変わってきています。このような環境下における営業の役割を改めて考え、営業、スタッフ双方で生活者視点に立った営業活動が行えるよう業務の効率化と品質向上を進め、変化に対応できるような組織を構築していきたいと考えております。

山内

内務スタッフの業務に占める販売条件処理作業の割合は多いため、引き続き請求件数が多い取引先様に対しては販売促進金EDIを打診し、取引先様と弊社双方の業務効率化に繋げていきたいと考えております。一方で社内においては、取引様へは営業担当者がアプローチを行うので販売促進金EDIについて知見が無い営業担当者に対して教育を行っていきます。

掃部関

取引に関する業務については正確性を担保しつつ標準化と効率化を目指していくことが重要だと認識しております。それを実現させるためにはデータを活用することが必要であり、販売促進金だけでなく受発注や出荷案内など様々な業務で今後もEDIは推進して参ります。どの業務も依然として紙による取引が多数存在しているためEDIを推進することでペーパーレス化に繋がることも期待しております。また、現状のデータ化の仕組みについても業界標準が求められますが、実際は各社の考え方や仕組みが異なるため足並みを揃えて進めていくことが大きな課題と認識しています。

――ファイネットに期待することがございましたらお聞かせください。

伊藤

オペレーション業務の標準化と効率化はどの会社にとっても課題であり、業界の標準化とユーザーの業務効率化を進めるファイネットにはそれを実現するような新たなサービスの開発や技術革新、情報提供に期待をしております。

――ご期待に沿えるよう引き続き取り組んで参ります。本日は貴重なお話をお聞かせいただき有難うございました。

CORPORATE PROFILE

株式会社 Mizkan

~「やがて、いのちに変わるもの。」に込めた想い~

この言葉は、ミツカングループが目指したい食や社会・環境の世界観を表現したものであるとともに、人々のいのちの源となる食品をお届けするという、大きくて重い責任を担う覚悟を表した言葉です。私たちは、この世界観の実現に向けて、これからも変革と挑戦を続けていきます。
ミツカングループは1804年の創業以来、「買う身になって まごころこめて よい品を」お届けしたいという思いを根底に、時代や環境に合わせて様々な商品を創出してきました。これからも強みである「発酵技術」を活かし素材の眠っている栄養を引き出すことで誰も知らなかったおいしさを発見していきます。そして食の価値、調理、食べ方、食べる時間と場所などあらゆる食シーンを様変わりさせるような商品を創出していきます。